2012年9月6日(木) 信濃毎日新聞
▼以下転載
8月下旬の夕方。菅平高原のグラウンドで練習を終えた駒澤大(東京)ラグビー部の学生たちが、すぐ近くの宿舎菅平高原温泉ホテルに戻り大浴場で体を洗っていた。天然温泉の内湯は普段通りだが、露天風呂は今夏初めて、冷たい井戸水が入れられ、学生たちは両方を行き来する。3年男子(20)は「水風呂は冷たくて気持ちいい」と満足そうだ。
同ホテルが露店を冷水にしたのは、7月中旬の5日間、ラグビー日本代表合宿を受け入れたことがきっかけだ。日本代表が菅平で夏合宿をしたのは11年ぶり。同ホテルが宿舎になったのは初めてで、代表側から様々な要望が出された。その一つが冷水の風呂。血管の拡張・収縮を繰り返すことが早めの疲労回復につながるといい、「練習後に選手が水温5度の水に浸かれるようにしてほしい」と求められた。
1日に500キロの氷が必要になった。菅平じゅうのホテルや取引のある飲料メーカーにも協力を求め、可能な限り調達連日頻繁に氷を入れた。代表合宿が終わってからも、氷は入れないものの、露天風呂を水風呂のままにしている。代表と同じことをできるとあって大学や高校の選手からは評判は上々だ。
同ホテルで日本代表合宿が内定したのは4月上旬。桑田雅之社長(40)は「受け入れるからには最大限の努力をしたい」とスタッフで話し合いを重ね、食事にも工夫を凝らした。低脂肪、高タンパクで栄養価の高い「鶏胸肉のハーブ焼き」などの選手向けメニューを考案。料理の大皿の前に産地を書いた札を置き、安全性もアピールした。
桑田社長はいま、「いろんな人の支えがあって、大きな問題もなく何とか乗り切れた」と総括する。ただ、「日本代表というビッグチームに、一つの宿泊施設だけで対応するのは負担が大き過ぎる」と本音も漏らす。
日本代表の夏合宿の場所は、受け入れ先のホテルなどとの個別交渉で決まる。1991年まで約25年間、菅平で代表合宿を受け入れていた別のホテルの専務(52)も負担は大きかったと振り返る。「日本代表を受け入れているという自負で頑張ってきたが、代表合宿中は貸し切り状態にする必要があり、書き入れ時の夏の経営を圧迫した」。合宿の日程は直前まで決まらないことが多く、他の予約を入れず、幅を持たせて開けておくしかなかったという。
「いいねえ、菅平」。日本代表を指揮するヘッドコーチのオーストラリア人、エディー・ジョーンズさん(52)は合宿の最終日、日本語で満足そうに言った。15年以上前から日本の大学や社会人チームの指導者として菅平を訪れており、お気に入りの場所だ。ただ、合宿先の検討は日本ラグビー協会が組織として行うため、来夏以降も菅平が選ばれる保証はない。
桑田社長は「受け入れは大変だが、日本代表が再び菅平で合宿を続けてくれれば、スポーツ関係者へのアピールになる。菅平全体で受け入れる態勢を整えることが大切ではないか」と考える。近く代表合宿の成果や課題を整理し、菅平の全ホテルにせt名するつもりだ。菅平高原観光協会の丸山進理事長(56)も「菅平全体で受け入れ方法を考える時期に来ている」と話した。
▲転載ここまで
ラグビー日本代表合宿が7月にあった菅平高原ですが、このようなエピソードがあったとは知りませんでした。
受け入れに苦労されることもあるようですが、菅平の魅力アップのために菅平全体として取り組めるようになるといいですね!
(文:mitu)