お店ものがたり 和菓子処 玉喜屋(上田市)
2012年9月5日(水) 信濃毎日新聞
▼以下転載
生地と白あんの甘さに加え、マヨネーズの酸味が口に広がる。上田市中央3の「和菓子処 玉喜屋」の名物どら焼き「マヨどらバーガー」(140円)は1997年、テレビ番組のマヨネーズ料理コンテストで優勝。当日は1日1800個売り上げた。ブームが去った今も、考案者の同店5代目菓子職人、小林亮さん(37)は信州産チーズ入りまんじゅうなど、新たな和菓子作りに取り組んでいる。
1869年創業。旧上田藩士だった初代着喜太郎さんが京都の和菓子店で修業を積み、現在の場所でまんじゅう店を開いた。今も作り続ける「神代酒饅頭」が評判を呼び、2代目珠次郎さんは五・一五事件(1932年)で暗殺されるまで首相を務めた犬養毅を軽井沢の別荘に訪ね、まんじゅうを贈って将棋を指すなど親交を重ねたという。店内には犬養の書「立誠」が飾られている。
亮さんは都内の製菓専門学校を卒業後1996年に帰郷し、4代目で現店主の父親卓男さん(62)と和菓子を作り始めた。そのころ、世間では洋菓子の人気が圧倒的。「どうにか若者にも和菓子の魅力を広められないか」と考えていた。テレビ関係の仕事をしていた高校時代の同級生から誘いを受け、マヨネーズ料理コンテストに出場した。
試作を重ね、最終的に「誰でも知っている庶民の和菓子」のどら焼きを選んだ。生地に包んだのはマヨネーズと白あんを混ぜたようかん。審査では「マヨネーズと和菓子を合わせた発想が斬新」と絶賛され、放送直後から店に長い行列ができた。
客の反応は「好き嫌いがはっきり分かれる」と亮さん。「正直に言うとテレビ向けに奇をてらった商品で、本当においしさを追求したわけではなかった」が、客から「次は何を作るの?」と期待が寄せられるようになった。
「和菓子に注目を集めるチャンス」と翌年、白玉粉や本くず、寒天など和菓子の材料をふんだんに使った「白玉プリン」(200円)を発売。「滑らかでさっぱりしている」と若い女性から上々の評判を受け、販売を続ける。
奇抜な新商品を次々と考案する小林さんだが、最も力を入れているのは「昔ながらの団子」。生地作りには通常の製法の2倍近い時間をかける。1串85~120円でもうけはほとんどないが「近くの保育園の子どもが親にねだって食べてくれる。和菓子への入り口だけに、絶対に手を抜けない」と気を引き締める。
最近は洋菓子も和菓子の材料を積極的に取り入れており、双方の境界はより薄まっているとも感じる。「和菓子の基本と伝統をしっかりと受け継ぎながら、これからも枠にとらわれない味に挑戦していきたい」
▲転載ここまで
「マヨどらバーガー」で有名な老舗和菓子店「和菓子処 玉喜屋」さんの記事でしたね。
初代の方が京都へ修行に行ってまんじゅう屋として始まったお話、二代目の方の犬養毅首相との親交のあったお話など老舗だからこそある歴史感あふれるエピソードすごいですね。
また一番力を入れているのが「昔ながらの団子」というところが職人の心意気を語ってくれていうような気がしますね!
(文:mitu)
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